職場見学・体験事例紹介⑤ 石川福祉会
先進事例紹介施設と学校と町・村が連携して取り組む 地域に根差したキャリア教育
社会福祉法人 石川福祉会
〒963-7845 石川郡石川町字高田234-1
TEL 0247-26-1123
●職員:269名
運営施設
●特別養護老人ホームさくら荘
●特別養護老人ホームさぎそう
●特別養護老人ホームよもぎ荘
●特別養護老人ホームたまかわ荘
●特別養護老人ホームふるどの荘
見学・体験 広報等 取り組み内容
小学生の介護体験、中学生の職場体験、中学生のサマーショートボランティア、高校生のキャリアチャレンジ(就業体験)、養成校の介護実習の受け入れ。高校生を対象にした職業講話、高校生向け企業合同説明会への参加など。
高校生のキャリアチャレンジに協力
社会福祉法人 石川福祉会は、石川郡の5町村に特別養護老人ホームを1箇所ずつ設置・運営しています。各施設は、地元の小学校・中学校と連携し、毎年のように介護体験・職場体験を受け入れていましたが、現在は新型コロナの影響のため休止しています。そのような中でも感染対策を講じながら続けてきたのが、福島県立石川高等学校との連携です。
県立石川高校では、生徒が学校と施設・事業所で同時並行的に学べるデュアルシステムを導入しており、独自の学校設定教科「キャリアチャレンジ」を町と共同で実施しています。キャリアチャレンジを選択している2・3年生は、町内の企業や施設の中から希望する実習先を選び、週1回の就業体験を行います。キャリアチャレンジは2年生で前・後期の2回、3年生で年間通して1回、合計3つの施設・事業所で就業体験ができます。
石川町のさくら荘は、実習先のひとつとして、平成28年からこの取り組みに協力しています。「生徒さんからは『福祉の仕事について理解が深まりました』『大変さも含めて魅力とやりがいを感じられました』と感想が寄せられています」。こう話すのは法人本部事務局次長の三本松久美子(さんぼんまつくみこ)さんです。
また、県立石川高校では2年生を対象に、町内の事業所からゲストティーチャーを迎えて、職業講話の授業も設けています。石川福祉会からも毎年職員が訪れて、介護職について説明するほか自身が介護の仕事を選んだ理由なども伝えています。
ポイントは“顔の見える関係”
石川福祉会は、石川町が主催している年2回の合同企業説明会にも参加しています。石川町の高校に通っている生徒と、町内に住んでいる高校生を対象とした取り組みです。企業説明会では、動画も活用して職員の働く様子や介護の仕事の内容をわかりやすく紹介しているそうです。
またコロナ禍前には、小学生の介護体験や中学生の職場体験なども、積極的に受け入れていました。「小学生には、利用者様とのコミュニケーションを通して介護の仕事に関わってもらいました。平田村のよもぎ荘では、小学4・5年生が魚釣りゲームなどのレクリエーションの道具を事前の授業で準備してきてくれたことがありましたね」。と三本松さんは話します。
「以前から平田村では新しく赴任してきた先生に地域を知ってもらうために村内の史跡や施設を見てもらう取り組みを行っています。お互いの顔を知っているので先生も見学などを依頼しやすいのではないでしょうか」。
地元の生徒たちとのご縁をつないで
地域の小・中・高校生を対象にした取り組みは10年程続いています。小学校の介護体験で訪れた地元の施設(よもぎ荘)に、中学校の職場体験でも訪れ、やがて一緒に働くようになった仲間もいるそうです。
「施設に生徒さんが来てくれると、利用者様の表情がいつもより明るくなります。職員も生徒さんの熱心な姿を見ると、自分もがんばろうと刺激になっているようです。体験に参加した生徒さんと、今は職員として一緒に働けることが嬉しいですね」と三本松さん。
課題や今後の取り組みについて
法人本部事務局次長
三本松 久美子(さんぼんまつくみこ)さん
高校生本人が介護職を希望していても、保護者に反対されると、進路を変更してしまうことがあります。そのため、今後は生徒さんだけでなく、親御さんにも、施設や介護職について理解してもらう機会を設けていけたらと考えています。
また石川福祉会では、ホームページを開設していますが、SNSでの情報発信はなかなかできていません。若い方に福祉・介護の仕事について興味を持ってもらえるよう、インスタグラムなどをうまく活用して情報を届けていくことが、これからの課題です。
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